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2018-01-04

愛は特効薬になり得るか?

愛は特効薬になり得るか?

皆さんはどんな正月休みを過ごされたでしょうか?私は普段できない大掃除をする期間と決めているのですが、今年はあるテレビドラマの再放送にくぎ付けとなって、ほとんど何もしない休みとなってしまいました。そのドラマとは皆さんもご存知の『逃げ恥』※①です。ただ心理学的には、とても面白く観ることができたので、今回は主人公の二人に見る自己評価を回復する方法についての話をしたいと思います。

※①主人公二人の“契約結婚”を軸に、様々な男女間の社会問題を織り交ぜたラブコメディドラマ

自己評価が低いと自分を否定する傾向が強くなるし、傷つかない為に自己表現をしなくなるという話を以前に書きましたが、『逃げ恥』を観ていて思ったのは、自分を守る傾向というのは、時に相手を傷つけることもあるのだということでした。

例えば星野源演じる”平匡”が、ガッキー演じる”みくり”に別の男性の家にお手伝いに行くことを勧める場面。平匡はみくりに自分のそばにいて欲しいにも関わらず、「僕はどちらでもいい。君が決めればいい」と殊更にフラットな態度をとり、この先どう転んでも自分が傷つかないようにしているわけですが、相手のみくりは「癒される平匡のところにいたい」と思っていますから、とてもショックを受けますし「優しくはしても意思表示はしないなんて卑怯では?」となってしまう。観ているこちらも「酷い!それはないぞ平匡!」と思わず口に出てしまいます(笑)

もう少し深読みすると、この場合平匡はみくりが「そんなこと言わないで欲しい。私はここにいたいの」と言ってくれるのを少なからず期待もしていたはずです。相手からの提案であれば、選択肢がこちらにあるので自分が傷つく可能性は限りなく低くなるからです。(相手に決めさせる傾向《責任回避》は自己評価が低い人に多い)

しかしこれでは相手への愛情より、自分への愛情が優先されているので、恋愛は成立しません。万が一この時点で付き合いが成立してしまうと、みくりはずっと平匡の自尊心の安定の為に利用されることになるでしょう。それでは幸せには程遠いでしょうし、長続きしません。(もっともこのパターンで長続きする場合もあります。DVに代表されるような妻へのモラルハラスメントが成功している場合などです)

ところが逃げ恥の場合は、相性の良さはもちろんですが、二人が同じように自己評価が低かったことと、理詰めで物事を考える性格であったことが幸いして、徐々に問題が解消されていきます。(信じられないくらい時間がかかりますがレアケースゆえにドラマとしてとても面白くなったと思います)

さて、表題の【愛は特効薬になり得るか?】ですが、人に傷つき浴室に閉じこもるみくりの状態を見た平匡が、それが以前の自分の姿と同じであることに気づき、どうやって自分がそこから救われてきたのかを思い出すシーンで見事に語られています。それはどんなに平匡が心を閉ざしても、何度シャッターを下ろしても、みくりが諦めずにやさしく声をかけ続けてくれたことでした。「あなたはそれでいいのだ」と。

我々の実生活の中でも、どんなに励ましても元気づけても、次に会うと元通り自分の世界に閉じこもってしまっている人に出会うことがあります。理由はどうあれ、彼らもまた自己評価の低い人たちです。多くの場合、優しくしても励ましても効果が見られないと、いずれ人は離れていくものですが、そこに愛があればどうでしょう?それが最終回のあの平匡の回想シーンにすべて集約されていたと思うのです。(※ここでいう愛とは純粋に相手の幸せを願うものを指します。自分の努力に対して効果や見返りがないとあきらめて離れていくのは、思い通りにならないことに腹を立てるわけですから自己愛ですね。)

自己評価が低い人が立ち直るにあたり、愛は特効薬です。恋愛関係とはお互いに相手のすべてを無条件で受け入れることであり、「自分はこれでいい」ことを濃密に確認しあえる関係のこと。それは自己評価の低い人たちが最も手に入れたいものといえるからです。

しかし忘れてはいけないこともあります。逃げ恥の二人は、恋愛感情に揺らぐ間、自分自身の成長にも向き合い続けていたということ強くなければ人を幸せにはできないとはよくいったもので、まずは自分がどう生きるのかが先です。一人で立っていられるから、誰かを支えることができる。それを踏まえた上で【愛は特効薬】なのだと思います。もし、それがなければあのような結末にはならなかったでしょう。

※例えば「この人と一緒なら幸せ」とは、逆に言えば「その人がいなければ不幸せ」ということになります。それでは自分の幸せを人にゆだねる状態、いわゆる【依存】でしかありません。それは幸せの為に相手を利用する行為ですし、先にも書いたように自己愛が優先される場合、恋愛は長続きしづらいものです。

皆さんはどう思いましたか?あのドラマはとても考えさせられる場面が多かったように思いますし、みくりが心理学部出身だったこともあり、心理学的見地からの見方もふんだんに紹介されていました。ついつい主人公の二人の恋の行方に気持ちが奪われがちになりますが、自己評価対策としてはいい教材になる部分もありますので、そういった角度から見直してみるのも面白いと思います。

ということで、意外なところで発見があるうちは人生まだまだ楽しめそうな気がした正月。機会があれば皆さんの新しい発見についても聞かせてください。ではまたお会いする日までお元気で。。

うちだ


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