2017-04-04

「でも」が口癖になってしまうの正体

「でも」という人は

「分かってほしい」の裏側にある、会話のすれ違いを解きほぐす

この記事は、過去に執筆した「会話における反論と自己満足の心理」についての考察を、現在の視点で再構成したものです。


つい「でも」「だけど」と返してしまう心のブレーキ

誰かと話しているとき、相手の意見に対してつい「でも、私はこう思う」「だけど、それは難しいと思う」と、「でも」から言葉を始めてしまうことはありませんか?

かつて私が講師をしていた頃、テストの成績が返ってきた後の面談で、この言葉を本当によく耳にしました。真面目に頑張っているのになかなか成果が出ない子ほど、「でも、今回はちゃんとやったもん」「だけど、週末は眠くて集中できなかったから」と、無意識に「でも」の盾を構えてしまう傾向があったのです。

彼らは決してアドバイスを無視したいわけではなかったと思います。ただ、「自分の頑張りや、思い通りにいかなかった悔しさを、とにかく先に分かってほしすぎた」のかもしれません。


「でも」の裏に隠された、切実な自己防衛

大人になった私たちの日常でも、これと全く同じことが起きています。職場でアドバイスを受けたとき、パートナーからちょっとした指摘をされたとき、頭の中に「でも」「だって」が浮かぶ。

心理学的に紐解くと、この「でも」の多用は、あなたの性格が頑固だからではありません。「自分を否定されたくない」「今のままで正当だと認めてほしい」という、傷つきやすい自分を守るための、切実な自己防衛のサインなのです。自分に自信が持てないときほど、この盾は厚くなり、他人の言葉を跳ね返してしまいます。


話を聞いているようで、実は「次に言うこと」を考えている罠

現在はカウンセラーとして「言葉」を何より大切にする仕事をしていますが、私はこの「でも」という言葉に、今でもものすごく気を使っています。できる限り使わないように注意していると言ってもいいくらいです。

「でも」は、前の内容を否定したり反論したりするときに使う言葉です。乱発されると、相手は無意識のうちに「否定された不快感」を覚え、やがて本心を話すのをやめてしまいます。

そしてもうひとつ、こちらのほうがより重要なのですが——自分が「でも……」と話し出すとき、実は相手の話を最後まで聞いていないことがほとんどだという事実があります。

相手が話している途中なのに、頭の中では「次にこれを言おう」と自分の言いたいことに切り替わってしまっている。それでは、目の前の相手との会話が、ただ「自分の言いたいことを言ってスッキリする」一方的な場になってしまいます。


会話は、お互いの思いを分かち合う「対等な場」

人間は、自分の言いたいことを話しているとき、脳内で快楽物質が分泌され、スッキリとした快感を覚える生き物です。自分の正しさを主張したくなるのは、脳の仕組みから見れば自然なことかもしれません。

でも、心地よい会話とは、どちらか一方が感情を一方的に発散する場ではないはずです。お互いの考えや思いを丁寧に伝え合う、対等なキャッチボールの場のはずです。

もし、人間関係がなぜかギクシャクしやすかったり、孤立感を感じたりしているなら、一度振り返ってみてください。自分の言葉が、相手をキャッチボールの相手ではなく、「自己満足」を満たすための道具にしてしまっていなかっただろうかと。


相手をそっと包み込む「優しい、でも」

「でも」を少し控えて、まずは相手の言葉を「そうなんだね」とそのまま一度受け取ってみる。それだけで、人間関係の風通しは驚くほど良くなります。

ただ、日々いろいろな方のお話を伺う中で、私はこうも思うのです。「世の中には、相手を思う『優しい、でも』だって、確かにあるよな」と。

自分を責めて傷ついている大切な人に「でも、あなたは本当によく頑張ったと思うよ」と伝えるとき。理不尽な状況に押しつぶされそうな人に「でも、私はあなたの味方だからね」と伝えるとき。その「でも」は、相手を否定するための武器ではなく、苦しみから救い出すための温かいお守りになります。

あなたの言葉のパレットにあるその強い言葉を、誰かを跳ね返す盾ではなく、お互いが心地よくつながるための「やさしい道具」に変えていけたら素敵ですよね。

「分かってほしい」という気持ちが強すぎて、誰かの言葉をどうしても素直に聞けないときは、いつでもその胸の内を吐き出しにきてください。あなたが「でも」と言いたくなるその切実な背景を、誰よりも丁寧に、丸ごと受け止めさせていただきます。

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