2024-12-31

不定期日記|20241231

「今年も間もなく終わろうとしている」

いつ頃からかこの時期になると妙に感傷的になって、ついついどこかのハードボイルド小説に書いてあるようなセリフを思い浮かべてしまうようになった。とはいえ現実の私は昔から割とだらだらと時間を消費してしまう傾向があるので、ハードボイルドついでに「無駄な一年だったのではないか?」と思ったりもするが、最終的には「まぁ無事に一年過ごせたので良しとしよう」と考えて、また日常に戻っていくというのを繰り返すタイプなので、ハードボイルドとは程遠い感じである。

ただ今年は春先に大事な友人を亡くしたことで、「無事に過ごせているのは、たまたま運が良かったからだ」という新しい考えが強めに芽生えており、夏の終わりくらいから「やりしたいことは速やかに実行しよう」という、時間浪費型の人間にはあり得ない選択が続いているし、来年も続きそうである。そんなわけで今の段階でも、春に仕事で2つの新しい企画を立ち上げる準備をしているし、夏前頃に長期で旅行に行く計画も立てている。9月にトレーニングジムに通い始めたように、引き続き学びたいと思ったことにはチャレンジするつもりだ。それから(これが一番大事だが)来年になったら人生の師匠と山に登る約束もした。少々刹那的な感じもするが、自分のようにだらだらと過ごしがちな人間の人生は、こんな風にどこかから強い風が吹き始めたタイミングで帳尻合わせるものかもしれないなと思う今日この頃である。

ドキュメント72hours

ここ数年、年末にNHKでドキュメント72hoursという番組の年間ベスト10を観るようになった。知らない人もいると思うので説明すると、ある特定の場所(お店や公共施設やドライブインとか霊園とか)で72時間に渡って、そこにやってくる人たちに来た理由や人生の状況を聞き続ける番組である。想像するにかなり多くの人に断られながらしぶとく取材を続けて成立させている番組であろうから、汗を流して作られた分、見どころが多い気がする。

この番組を観ていると、世の中には本当に様々な事情を持った様々な人がいるなぁと思う。幸せな人もそうじゃない人もいるし、困難を乗り越えた人も乗り越えようとしている人も乗り越えられなかった人もあきらめている人もいる。そういう人たちの話を聞きながらほっこりしたり、胸が締め付けられたり、ちょっと涙ぐんだりと、観ているだけでとても忙しい精神状態になるが、一方でどことなく共感できることもあって、自分も頑張ろうと思えたりするから不思議なものだ。そう考えると、私は様々な人と出会い続けたいという欲求をどこかに持っているのかもしれないなと思ったりもする。

人は見た目ではわからないと言うが、この番組を観る度に、自分は他人のことなんて何もわかっていなかったんだと思えるので、カウンセラーとしての自分の戒めにもなっていて、総括の時期にはちょうどいい番組ではないだろうか。

オーディブルが欠かせない

オーディブルの話をしようと思う。オーディブルとはプロの声優さんや俳優さんによる本の朗読が聴けるサブスクリプションで、いつも事務所への行き帰りに利用している。以前は音楽を聴きながら歩いていたのだが、オーディブルが村上春樹を扱いだしてからは、ほとんどの時間オーディブルを聴くようになった。中でもお気に入りは高橋一生君の「騎士団長殺し」と染谷将太君の「羊をめぐる冒険」で、羊の方は今月配信が始まったばかりだが、「騎士団長殺し」はもう10回以上聴いた。たくさんある中でその2冊が好きなのは、二人とも登場人物によって声色を変えているからだ。朗読が本来どういうものかは知らないし、もしかしたら登場人物になりきって読むものではないのかもしれないが、せっかく俳優さんが読んでいるのだから、登場人物ごとに演じてほしいし、その方が情景がリアルな映像として浮かび上がって聴いているだけで違う世界にトリップしているような気分になれるのがいい。毎日同じ道を歩く身としては、とてもありがたい話なのだ。

話は変わるが、私は昔から村上春樹が好きだが、村上春樹のファンであるという人に会ったことが殆どない。好きだと聞いて興味を持ってくれて何冊か読んでみたという人も時々現れるが、概ね「私には合わない」とか「ピンとこない」とか「苦手」という感想が返ってくるので、最近はファンであることもあまり言わなくなった。いつか同じように読み込んでいるという人と話してみたいものだ。しかし、たくさんいるという村上ファンは一体どこに存在しているのだろう…

都合の良いイメージ

前回書いたように、パーソナルトレーニングジムに通うようになって、もう3か月が経った。体調が崩れたり、仕事のスケジュールが変わったりで、きっちり週2回行けないこともあって、2か月コースが3か月に伸びてしまっているが、相変わらずモチベーションは高いままで、熱心に体を鍛え続けている。トレーナーさんとの相性も良く(相手がどう思っているかはわからない)、合間に話すのも楽しく感じるし、体についての新しい知識が増えるのも楽しい。肩こりも腰痛も感じなくなったし、運動するとメンタルが安定するのも実感できるので、とにかく通ってよかったと思う。

中でも一番良かったのは、自分でトレーニングする方法を覚えられたことだ。私の好きな村上春樹の小説に出てくる主人公の多くは、孤独だが自分を強く持っているというパターンが多いのだが、何かに巻き込まれた際に一人でトレーニングするシーンがよく登場する。村上氏自身マラソンランナーであることもあって、肉体を強化することで精神を強くすることは、ある程度可能だという考えを持っているので、それが各作品の主人公に反映されているわけだが、以前からそのシーンを読むたびに、自分もそうありたいと思った。そこでターザンというスポーツ雑誌を手に入れては、写真通りにやってみるのだが、どうもしっくりこないし、そもそもやり方が合っているのかもわからず、いつも途中で挫折していた。しかし、今では空き時間を使ってきっちり体の各部を鍛えるトレーニングができるようになったので、「きっと困難に直面してもしぶとく乗り越えられる人間になりつつあるに違いない」と独り言ちたりしている。まぁ実際には年齢もあるので、強くなるというよりは辛うじて現状維持に近いのだろうが、空想が得意な私は、現実ではなく想像上の強くなった自分を支えに生きることができるので、実際など大した問題ではない。そんなわけで今日も空想の世界に入り込んで「俺は強いぜ」などと息巻いてトレーニングする私がいる。

強くて優しいフリーマン

野球を知らない人も名前は知っているのではないかというくらい、今年は大谷君がアメリカのリーグで活躍しました。私も多くのおじさん同様、彼の活躍に胸躍らせ見守り続けて一人です。そんな折に彼の所属するドジャースのフレディ・フリーマンという選手のことも好きになったのですが、そのきっかけとなった話をしようと思います。

大谷君は今年エンゼルスからドジャースに移籍しました。しかしシーズンが始まってすぐに彼を長年支えた通訳の賭博事件が発覚して、状況的に大谷君も関与しているのではないかと疑われ野球どころではなくなりました。彼の新しいチームメイト達も彼の人柄さえまだわからないときの事件だったので、彼に対して疑心暗鬼になったそうです。そのような状況下でも、彼は一人黙々とトレーニングを続けていたわけですが、そんなとき寄り添ってくれたのがフリーマン選手でした。彼自身幼いころに母親を亡くして苦労してきた経験から、「人生にはつらい状況を経験するときがある。そういうときは支えてくれて頼りになる人が必要だ。だから助けが必要ならここに頼れる人がいることを彼に伝えたかった」という考えのもと、まだチーム内でも孤立気味だった彼に寄り添い続けたのです。憧れますね。

強さと優しさを獲得するには、一体どれくらいの試練を通り抜ければいいのか?は私の中にあるテーマの一つですが、それでもフリーマン選手を知って、それを目指すだけでも意味があることだと勇気が湧きましたから、来年も2人にまた会えるのを楽しみにしつつ「強さと優しさ」をテーマに頑張ろうと思います。

今年もありがとうございました。

今年は移転という大きな出来事がありました。以前の東区高岳のビルは、とても気に入っていたし、実際のところ「ここが最終地点だな」と考えていたこともあって、移転することになるとは春の段階では思いもしないことでした。しかし、あまり好ましくない出来事が重なったタイミングで、ビルの老朽化と寒暖差の大きさによる仕事環境の悪化(簡単に言うと夏は冷房が効かず、冬は暖房が効かずという過酷さです)との折り合いをつける気持ちに変化が起きて、「この機会にもっと心地よくて静かな環境に移ろうかな」と突然思い立ったのが5月、それで6月にはもう新しい場所を見つけて移転したという経緯でした。

結果、環境は大きく改善しまして、今では新しい環境にもすっかり馴染んで仕事をしています。落ち着いた環境と、好みの街並みという2点においても納得の選択でした。

話は変わりますが、2025年度は、勉強会とオンラインコミュニティで新しい企画を考えています。様々な出会いを経験し続けたい思いがありますので、企画をきっかけに皆さんと一緒に心理学の世界を深めていけたら楽しい一年になるのではないかなと、今から楽しみにしています。

新しい年が皆さまにとって幸多き心穏やかなる一年になりますように。

12月31日 リフレイム代表 内田裕司

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