2026-09-10

夫婦が分かりあえないとき

正しさより、二人の間で起きていることを見る

夫婦なら、話し合えば分かり合える。そんなふうに考えていても、実際には話し合うほど関係がこじれてしまうことって多々ありますよね。

こちらはきちんと説明しているつもりなのに、相手は黙ってしまう。話をそらす。怒り出す。あるいは、「もうその話はしたくない」と離れてしまう。そうなると、「どうしてこんなことも分かってくれないのだろう」という気持ちが強くなる。

大切な相手だからこそ、分かってほしいのは当然です。ただ、夫婦の話し合いが行き詰まったときには、一度、「私たちは今、何を分かり合おうとしているのだろう」と考えてみるのが必要です。

正しさを証明する話し合いになっていないか

夫婦で意見がぶつかったとき、私たちはつい、

「普通はこうするものだ」
「私の言っていることの方が正しい」
「あなたが変われば、この問題は解決する」

と考えてしまいます。家事や子育て、お金、仕事、親との付き合い方。どれも自分の守りたい価値観に沿った考え方で関わっているでしょうし、何よりも日々の生活に関わることだから、簡単には譲れないこともあるでしょう。

ただ、話し合いの目的がいつの間にか、「二人で問題を考えること」ではなく、「どちらが正しいかを決めること」になってしまうと、対話は難しくなります。

夫婦であっても、二人は別の人間です。育ってきた家庭も、経験してきたことも、大切にしているものも違います。同じ出来事を見ても、同じように感じるとは限りません。

「なぜ分からないの?」と問い詰める前に、「この人には、これはどう見えているのだろう」と考えてみる。相手の考えに賛成するためではなく、まず相手がどこに立っているのかを知ろうとすること。そうすることで初めて、話しが通じ合うこともあるのではないかと思います。


『分かってもらえない』と感じると、話し合いの途中でどうしても怒りが大きくなってしまう人もいます。その場合は、相手との関係だけでなく、怒る直前に自分の中で何が起きているのかを見てみることも大切です。
◆関連記事→『怒りが抑えられないとき|なぜ大切な人ほど感情が爆発してしまうのか』


理解することは、同意することでも我慢することでもない

相手を理解しようとすると、「相手の言い分を受け入れなければならない」と思ってしまう方もいます。でも、理解することと同意することは別です。

「あなたはそう感じているんだね」と受け取ったうえで、「私は違う」と言ってもいい。人間関係の在り方はもとより、夫婦の対話は、どちらかが相手と同じ考えになるためのものではありません。

「あなたはそう思う。私はこう思う」という違いは尊重したまま、その上で二人にとってどうするのがよいのかを考えることが、違う人間が共に生活していく上では必要なのです。

また、相手の話を聞くことと、自分が我慢し続けることも違います。

「自分がもっと理解すればいい」
「自分さえ我慢すれば喧嘩にならない」
「伝え方が悪い自分に問題がある」

と、一人だけで関係を背負ってしまうことをしていませんか?しかし、一方が理解しようと努力し続けるだけでは、話し合いそのものが成立しない上に、いつか精神的に限界を迎えてしまうことになりがちです。

こちらが何度歩み寄っても、相手が話を聞こうとしない。侮辱や威圧が繰り返される。話し合おうとするたびに一方的に責められる。そういう状況では、「もっと上手に話せば分かり合える」と考え続ける必要はないと思います。分かり合おうとすることと、自分を守るために線を引くことは、人間関係においては本来両立するものですから。

「関係を修復したい」のか、「相手を変えたい」のか

関係が悪くなると、「元に戻りたい」「以前のようになりたい」「どうにか関係を修復したい」と思うことがあります。その願いの中には、ときに、「相手が変わってくれれば」という気持ちも混ざります。

もちろん、相手に変わってほしいと思うこと自体が悪いわけではありません。傷つけられたなら、「もう同じことをしないでほしい」と思うのは当然のことです。

ただ、「私は何に傷ついているのか」「私は本当は何を望んでいるのか」を伝えることと、「あなたは間違っているから変わるべきだ」と相手を評価することは違います。

だから、もし「あなたはいつもそうだ」「あなたは普通ではない」という言葉が増えてきたときには、「私は今、何を感じているのだろう」と、一旦自分について考えてみてもいいと思います。

「寂しい」
「不安だった」
「もう少し話を聞いてほしかった」
「私はこうしてもらえると助かる」

その上で、相手を分析する言葉ではなく、自分の中にあるものを伝える。もちろん、必ずしもそれで相手が同意するとは限りませんが、少なくとも「どちらが正しいか」ではなく、「二人は何を感じ、何を必要としているのか」という話をすることができます。言い換えれば、関係を改善することに誠実に向き合っていると言えるのではないでしょうか。

相手の性格より、二人の間で何が繰り返されているかを見る

夫婦関係に行き詰まると、相手の性格を説明したくなることも多々あります。

「頑固だから」「自分勝手だから」「話し合いのできない人だから」…もちろん、実際に相手の言動に問題がある場合も多々あるでしょう。

ただ、二人の関係を考えるうえでは、相手が「どんな人なのか」だけではなく、「二人の間で、いつも何が起きているのか」を見ることも大切なんですよね。

たとえば、こちらが不安になって話を求めるほど相手が距離を取り、相手が距離を取るほどこちらはさらに追いかけてしまったり、あるいは、一方が不満をため込み、限界になって強く伝え、それを受けた相手が身構え、さらに話ができなくなっているとしたら…。

どちらが悪いのかを決める前に、「また、この流れになっているな」と二人の間に起きているパターンに気づく。そうすると、「相手さえ変われば」と考えていたときには見えなかったことに気づける場合もあるでしょう。

夫婦だからといって、すべてを分かり合う必要はありません。分からないとしても、

「あなたはそう感じているんだね」
「私はこう感じている」
「では、二人はどうしていこうか」

と考えることはできます。

相手を自分の正しさに修正することでも、自分が相手に合わせ続けることでもない。分かり合うことは、同じになることではないのです。違いを受け入れ合ったまま、二人の間で何が起きているのかを一緒に考えていく。それが、夫婦の対話なのだと思います。(自分と同じであることを求めるのは、依存関係でよく見られる状態です)

リフレイムは、夫婦のどちらが正しいのかを判定したり、一方を説得して変えたりすることは請け負っていません。

どういった方向を目指すにせよ、一人で相談される場合には、関係の中で何が苦しいのか、自分はどうしたいのかを整理しますし、夫婦で相談される場合には、それぞれの考え方を確かめながら、二人の間で何が起きているのかを、私が間に入って双方が納得できるまで一緒に考えていきたいと思います。

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