アドラー心理学|原因論と目的論

カウンセリングとアドラー心理学

アドラーの名前を聞いたことがある方は徐々に増えていると思いますが、多くのメディアで紹介されてきたのはフロイトやユングですから、それまでは一体どういう人なのかは知らなかったという人もいるかもしれません。実はアドラーはフロイト・ユングと並び三大心理学者の一人とされる人物です。

彼の提唱した個人心理学は、科学としては捉えにくい面がある為に評価が分かれていますが、他の心理学と比べると具体性に富んでいて、より実践的です。詳しくは関係書籍などを読んでいただければと思います。ここでは、私がアドラーをカウンセリングのひとつの軸に置いている理由について簡単にお話します。

アドラーの原因論と目的論

理由はいくつか挙げられますが、一番は「目的論」です。そこで「目的論とは何か?」について、対極をなすフロイトの「原因論」と比較しながら少しお話します。

例を挙げて説明しましょう。例えばうつ病になった人がいるとします。その人はそれまで会社員として忙しく働いていた。ところがあるときから徐々に頑張れなくなって診断を受けたところうつ病と言われた・・・

原因論では「上司や同僚、取引先とのトラブルや人間関係に強いストレスがあったのでは?」という過去に注目します。

原因論とは、このように過去の経験が今の問題を引き起こしている(過去によって規定される今)という考え方です。今まで日本のカウンセリングではこの原因論を採用した手法がメインでした。クライエントの過去を遡って問題を見出し向き合っていくというこの手法は確かに成果はありますが、同時にとても時間がかかるのも事実です。そして一番の問題は過去の出来事を無かったことにはできないということです。変えられない問題が原因では、今の問題も解決しない。人によっては、カウンセリングがただ話を聞くだけの癒しの場になるかもしれません。

一方アドラーの目的論では、この状況で「会社に行きたくないのでは?」という本人の今の気持ち(目的によって規定される今)に注目します。少し乱暴な言い方ですが、行きたくないという目的を叶えるために、過去の問題点を利用して周囲を納得させ、うつを引き寄せた可能性について考えるわけです。

ではなぜアドラーはこう考えるのでしょう?それは変えられない過去の経験に原因を求めるのとは違い、問題が今の自分の目的にあるのであれば、状況を変えることができるからです。なぜなら過去とは違い、今の自分に向き合うのは不可能ではないですから。もちろん簡単にとは言いませんが、少なくとも変わる可能性はあるといえます。(このアプローチの大きなポイントは、今が変われば過去の意味合いも変わってくるというところですが、長くなるのでここでは割愛します)

カウンセリングに癒しを求めるのも否定はしませんし、それが必要なときも多々あります。しかし一方で本当に変わりたいと思っている人には、変えるための考え方や具体的な方法が必要です。そしてアドラー心理学には目的論をはじめ明確な考え方が存在します。それが僕がアドラーをひとつの軸にした大きな理由です。カウンセリングを受ける前にお伝えしたいと思い書きました。

ここまで読んでいただきありがとうございました。それでは「リフレイム」でお待ちしています。

※リフレイムは認知行動療法や動機づけ面接法などいくつかの心理療法と他の心理学も取り入れています。全てのクライエントにアドラー理論を当てはめる方針はとっておりません。あなたが一番必要としている形を共に考えますので、まずはお気軽にご相談ください。

リフレイム代表カウンセラー:うちだひろし

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