HSPの理解

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・HSPの理解

HSPとは、ユングのタイプ論(内向型)では説明しきれない性格特性の存在について研究した、エレイン・N・アーロン博士によって提唱されている考え方で、Highly Sensitive Person(極度に敏感な人)の略です。彼女の研究によると、人類の20%はHSPであるということです。割合についてはいくつか説が出ていますが、研究内容に関しては現在のHSPの考え方の基礎になっています。

現在日本では、様々なメディアにて紹介されていますが、一番の特徴は
『環境感受性がとても高いこと』と言えるでしょう。

「環境感受性が高い」を別の言葉で言い換えると、周りの環境の影響を受けすぎるということです。いくつか例を挙げると

・五感が敏感に反応(五感全てではなく、いくつかでも)
・他者の言動や行動に敏感に反応し人並以上に影響を受ける
・他者の感情や雰囲気に敏感に反応し人並以上に影響を受ける
・場の空気や雰囲気に敏感に反応し人並以上にストレスが高まる

などがそれにあたります。
加えてその人が持つ個々の性格や価値観との相乗効果で、2次的に

・長い時間にわたり人と交わると疲れてしまう
・相手の考えに同調することで難を逃れる癖がついている
・人間関係を維持するのが難しく、ついリセットしてしまう
・人前でHSP気質を隠しているため、ストレス過多由来の体調不良がある
・自分の気質が原因で上手くいかないと考え自己否定傾向が強まる
・我慢で乗り切る癖がついている為に、限界が来ると爆発してしまう

などの問題を抱えている人が多いのが現状です。

・HSP概念の広まりと問題点

HSPでよく見かける説明に
『病気ではなく気質の概念』である
というものがあります。

実際のところ、生き辛いと感じている人の多くが「病気ではない」ことへの安堵感に後押しされてHSPにたどり着いています。しかし一方では、HSP傾向を「治したい」「分かって欲しい」と考えることで、病気的に扱ってしまう人が多くなってしまうという問題も増えてきました。更にHSPを説明するのに〈生き辛さ〉というキーワードがセットになっているからかと思いますが、「どうすれば生き辛さが解消するのか?」を期待しすぎたことで「上手く変われない」「一体どうすればいいのか?」といった新たな苦しみが溢れているのが現状です。

科学、いわゆる精神医学の領域であれば「こうすれば治る」といった研究は数多存在しますが、HSPは気質理解のひとつの仮説であり研究です。精神医学の1症例として数多くの臨床や治験を繰り返したわけではありませんので、大まかな傾向は説明されていますが、個々の背景による枝分かれした細部の特徴については曖昧ですし、独自に解釈をするしかありません。

その上、病気であれば国際的な診断基準〈ICDやDSM〉が存在しますが、HSPはチェックテストとDOESの4項目という自己判定基準しか存在しておらず、実際には精神疾患の2次障害的に表れている気質の反応であっても、HSPだと誤認する方が後を絶たないのが現状です。(実際に治療が遅れて悪化したという例も多々報告されています)

また、日本に紹介されるタイミングで、意訳や独自の解釈が入り込んでしまっており、現状はどこまでがオリジナルの考えなのかの境界線が一般の方には分かりづらい状態といえます。

更に最近は、HSP概念の流行に乗じた商業的な利用が増えてきました。例えば宗教団体の介入や、短時間で取得できるHSP関連資格の増加、交流会の陰で営業活動を行う個人や団体など、報告されているだけでもかなり増えています。(そもそも病気ではないので、法に触れない限り問題はないのですが、誤解による症状の悪化事例があることを考えると由々しき事態と言えます)

・HSP概念の利用法

先にも述べたように、HSP概念は心理学の性格分類といった分野の研究で、自己認識の為の概念です。言い換えると自分を理解して工夫するためのサポート概念です。

ですから例えば、特徴として説明されているように「周りの影響を受けやすい」「考えすぎてしまう」が自分に当てはまるなら、「私は周りに影響を受けて勝手に考えすぎてしまったり、それで疲れてしまったりする傾向があるので、自分の部屋には極力物を置かないように工夫しています。目に入る情報量を少なくすると、部屋でリラックスしやすいことが分かったからです」といった感じで利用できればとても有効なわけです。


※ひとつ気を付けておきたいのは、決して自己説明のワードとしては適切ではないということ。人は基本的に〈自分に当てはめて〉解釈しますから、知らない言葉は警戒し、知っている言葉には自分流を押し付けます。よって【私はHSPだから理解してほしい】【このHSPの本を読んで欲しい】という他者への説明は、〈ただの甘え〉〈おかしな考えにはまっている〉と解釈されがちで、更なる誤解が生じるかもしれないと考えてください。


そのために必要なのが「自己認識」です。例え気質の傾向が似ていたとしても、生まれ育った環境や影響を受けた人間関係によって、個性や価値観にはそれぞれ違いがあります。そこでHSP概念の利用には、自分のオリジナリティの理解が欠かせません。好きや嫌い、したいことしたくないこと、未来に思い描くもの…。それらの自己認識を深めた上で、HSP概念を利用して楽しく生きられるような工夫に取り掛かりましょう。

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