ほんの数年前まで、精神的に不健康な親子関係の影響で苦しむ人たちには、『大人の愛着障害』『毒親』『AC』などの、あくまで補助的な概念を利用した心理療法が模索されてきましたが、2022年、ようやくこの問題を含む精神疾患『複雑性PTSD』がWHOより正式にリリースされ、医療現場での診断・治療が行われることになりました。
親子関係の影響による各種問題を扱ってきたリフレイムでも、長きに渡り『愛着・AC・毒親勉強会』として情報を共有できる場を設けてきましたが、今後は愛着の問題や複雑性PTSDに対応するカウンセリングと並行して複雑性PTSDについて知るための勉強会も折に触れ実施する予定です。以下、複雑性PTSDについての対応と勉強交流会の概略を紹介いたします。
【複雑性PTSD】
2022年1月よりWHOが発行するICD11(国際疾病分類11版)により複雑性PTSD(CPTSD)が正式採用されました。
長期にわたる身体的、感情的、または性的な虐待や、繰り返される精神的虐待など、慢性的なトラウマ体験が原因で発生する心的外傷後ストレス障害(PTSD)の一種とされる複雑性PTSD。リフレイムの柱の一つである、大人になっても影響を残す愛着障害の説明に合致した内容です。
特に長年にわたる養育者からの精神的・物理的な圧力、不理解、ネグレクトなど(いわゆる過干渉や過保護など、大人側の一方的な事情による接し方)の影響で大人になっても続く、感情的なフラッシュバックや強い自己否定、自分の存在を恥じる傾向、低い自尊心、社交不安、自暴自棄、気分の不安定さ、過度に感情的な反応、過敏さなどがそれにあたります。
【リフレイムのカウンセリング】
リフレイムでは長年この問題と向き合ってきた中で、過去のネガティブな経験が今を作り出していることに対し、いかにポジティブな経験を積み上げて今に変化を加えるかに焦点を当てるようになりました。重要なのは
➀科学的知見に基づいた正しい知識を得ること
➁経験のアップデート
③経験の蓄積
①まず大切なのは、偏った知識や思い込みで自己理解を進めてしまわないことです。誤った認識を深めると極端な自責傾向、あるいは極端な他責傾向が強まってしまい、人間関係で更なるトラウマを積み重ねてしまうことになります。ですから、まずは最新の心理学的、精神医学的知識を持つことが、これ以上の悪化を防ぐためにも大切なポイントになります。
➁経験のアップデートとは、例えば【人に理解された経験がない故に対人不安を覚えてしまうのであれば、人に理解される経験を新たに積み上げること】といった感じで、人それぞれの状態に対して対話を通じて必要な経験を探り、その人に一番合った方法で経験値の積み上げを実現させていく方法論です。もちろん意識の改善だけでは達成が難しいといわれていることも鑑みた上で、時間をかける必要はあります。(個々に合うと思われる方法を模索する必要がありますので、専門家による研究で提案されている様々な方法についても共有していきます。)
③そしてポジティブな経験の積み重ね。人間不信の傾向が強いことが継続的な人間関係を持ち続けることを難しくしているというのが、複雑性PTSDの大きな特徴の一つである以上、コツコツと時間をかけて経験を積み重ねられるように、カウンセリングでの対話を通じて「継続力」を養う練習をしていきたいと考えています。もちろん、その為の取り組み方は状態に応じて臨機応変に調整していきます。
リフレイムはカウンセリングでの対話を【入口の経験】として共有することを目指しています。どんな内容だろうと【安心して思うままに話せるし、それについての意見交換もできる】ということが、対人不安の傾向を持つ人にとっては大きな一歩になると思います。
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【勉強交流会について】
リフレイムでは、まず『複雑性PTSD』について知りたい、自分で向き合いたいという方の為に、不定期ですが勉強交流会も実施しています。
勉強交流会は前半に勉強会を実施し、後半に質問と意見の交換をする時間を設ける形です。どんなことでも構いませんので疑問や質問は遠慮なくお話しください。またカウンセラーは診断はできませんので、あくまで内容の勉強をするという時間としてご利用ください。
また、勉強交流会参加のご検討時に留意していただきたいことがあります。交流会や自助会に参加した際に、その場の人間関係で躓いてトラウマが上書きされるという事例はかなり報告されています(やはり人間は怖いなどの感覚)。リフレイムの勉強交流会も人間関係には十分に配慮して実施しますが、ご自身の状態がかなり不安定だったり、他人に対して強い不信感を感じやすい傾向がある場合、またマンツーマンの方が向いていると感じる場合には、カウンセリングをお選びいただくようお願いします。知識を得たい目的でも個別対応は可能ですので慎重な判断をよろしくお願いいたします。不安な場合には遠慮なくご相談ください。
【勉強交流会の予定】
◆日時 不定期です。トップページの『ワークショップ』にてご確認ください