2017-08-18

アドラー心理学|威圧的上司分析

アドラーの優越コンプレックス

威圧的上司の捉え方

こんにちは、リフレイムのカウンセラー内田です。ここ数年、夏になると胃腸が弱るようになって、その昔大人が「夏は胃がもたれる」と言っていた意味が分かるようになりました 笑

さて、今日はそんな胃痛の原因のひとつともいえる「威圧的な上司」について、アドラー心理学の観点からお話ししたいと思います。当てはまるかどうかは別として、ひとつの見方として読んでいただければと思います。(現在実施中の朝活心理学で最も質問の多かった事項ですね)

特に問題になるのが、上司の権威を笠に着た態度でしょう。こちらの言い分など聞く耳を持たず、一方的かつ威圧的に指示を出してくる上に、質問や反論などしようものなら必要以上にキレたり機嫌が悪くなる。あるいは表に出しはしないだけで、なんとなく気に入らない雰囲気を醸し出したり、あとから嫌味を言ってきたりと、それぞれに様々なパターンがあるでしょう。

そういうことが続けば当然その部署の士気は下がっていくでしょうし、発展的な意見も出なくなります。人によっては感情を抑えすぎて体調が悪くなってしまうこともあるでしょう。ではなぜ会社にとっては何のプラスもない状態にしてまで上司は威圧的な態度をとるのでしょうか?

アドラーは「優越コンプレックス」という言葉でこれを説明していますが、その前に簡単に「劣等感」に関連する概念をお話しておきます。

そもそも人は誰でも「理想の自分の姿=優越性」というものがある。そしてまだその力がない今の自分に「劣等感」を感じる。しかしこの「劣等感」があるからこそ、なりたい理想の自分に近づこうとして日々努力できる。ゆえに「劣等感」は人間に必要な感覚である。…というのがアドラーの考えです。

これに対し、「優越性」を簡単に満たそうとする歪んだ劣等感の形としてアドラーは2つの考え方を提示しています。「劣等コンプレックス」と「優越コンプレックス」です。

まずは「劣等コンプレックス」について説明しておきます。劣等コンプレックスとは簡単にいうと、「~だからできない」という姿勢のことです。「理想の自分になるにはお金が必要だったけれど、自分には無かったからできない」「本当は~をしたいけれど、忙しいからできない」などの状況を言い訳として努力をしない状態を指します。これは言い換えると「~があったらできる」と言っているのと同じですから、暗に《自分は能力はあるんだけどね…》と優越性を誇示しているわけですが、本人は一向に努力せずに優越性を満たしているわけですから、劣等感の歪んだ形といえます。

そして「優越コンプレックス」。人によっては権威を利用して自分を大きく見せようとすることに固執する場合があります。育った環境の影響が大きいでしょうが、必要以上に自分を大きく見せなければ認めてもらえないという思考に支配されているような状態。ブランドや地位の力を借りてあたかも優れているかのようにふるまうことで自分を大きく見せているのですから、人の価値観にすがって優越性を満たして生きている状態ともいえるでしょう。「友人が有名人」「親が社長」「車は外車」ということを話の端々に挟んだり、「過去の栄光」「手柄自慢」などを折に触れ話したがる傾向が強い人ですね。歪んだ自己承認欲求と説明してもいいかもしれませんね。

威圧的な上司もまた「優越コンプレックス」のひとつです。他にもコミュニケーションの方法があるにも関わらず、わざわざ部下を押さえつけ服従したり落ち込んだりするのを見ることで優越性を満たしているわけですから、どんな建設的な意見を言ったところで聞いてはくれません。「より良い仕事をしたい!」と考える部下のベクトルに対し、「自己承認欲求を満たしたい」上司のベクトルは、重なり合う部分などどこにもないからです。

どうです?威圧的態度は自信のなさや弱さから生まれた歪んだ劣等感ということがわかっていただけましたか?こうした背景を知っておくことは、対策を考える上でとても重要です。どんな正論(上司なら~すべき!とか、こうすると良い仕事ができるのに!など)も通用しなかった理由がわかれば、無用な怒りを抑えて冷静に対応できる可能性が高まるからです。

というわけで、今回はここまで。アドラー心理学は実践という意味ではとても難しい考え方です。結論まで持っていくと字数が多くなりすぎますので、続きはもう少し時間をかけて話せる機会にとっておきましょう。ただ先程も書いたように、相手の背景を知るだけでも冷静さを取り戻すことはできますので、今回のお話で参考になることがあれば幸いです。

なんだか訳のわからない天候が続いていますが、体調にはくれぐれも気をつけてお過ごしくださいね。ではまた会う日までお元気で。

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