親の大事な役割とは
リフレイムは主に親子関係の影響で社会生活に問題が生じている人たちが相談に来る場所ですから、子供の立場で過去と向き合っている人が来ます。また親の立場で子供のことで悩んでいる方も少なからず利用されています。そういう意味では、同じ家族内ではありませんが、親子双方の立場の意見を聞く機会があることで、気づかされることもあります。今回はそんな話をしたいと思います。(※特に親子関係に問題がない場合は自然にできていることですので、読んでいただく必要はありません)
現在親子関係に問題を抱えていると感じている子供側の立場の方に「親にどうしてもらいたかった?」と当時を振り返ってもらうと、ほとんどの人が「親に私の話を聞いて理解してもらいたかった」「愛情はあったと思うが、分かって貰えていたとは思わない」と言います。
一方で、現在子供が問題を抱えていてどうしたらいいかわからないと相談に来られる親の立場の方に「どんな風に子育てをしてきましたか?」と聞くと、これも多くの場合「正しく育ててきたつもりなのに」「愛情をもって育ててきたはずなのに」というお話をされます。
単純に同じテーブルに乗せられるわけではありませんが、双方の話からも分かるように、現在何らかの親子関係由来の悩みを持っている人の場合、例え親がどんなに愛情をもっていても、どんなに正しく育てようとしていても、子供はそれを素直に受け止められていないことが多いようです。なぜなら、子供が一番に求めているのは「親に自分の行動や考えを理解されること」だからです。
発達心理学で指摘されていることの一つに【子供の自我が育つまでに、いかに親が子を理解し、わかってもらえているという安心感を与えられるかが重要】という話があります。
その経験がベースとなって、子供は自分の存在に自信を持ち「この世に存在していてもいい」と感じられるようになるわけです。性格や価値観は、概ね子供の頃の家庭環境の影響を受けて形作られることが分かっていますが、なかでもこの「この世に存在してもいい」という安心感は、将来社会生活を送るようになったときに、子供を継続的に内側から支える基本的な力となるので、「どう育てれば有名校に入れるか」や「どう育てれば周りに認められるか」といった外的で一時的な評価軸とは、比べ物にならないくらい大事なことなのです。
また、どういう傾向の子たちが社会からドロップアウトしたり、うつ病になって社会生活が困難になりやすいのかご存じですか?それは自分に自信のない子です。自信がないからこそ「良い成績、良い学校、良い就職」といった外的な評価(人にどう思われるか)を得て安心しようと無理をし続けるので、仕事ばかりか人間関係においても正解を求めすぎて追い詰められ、心や体を壊していっているのが現状なのです。
これが全てというわけではありませんが、少なくとも発達心理学的に大事にした方がいいことについてわかっていただけたでしょうか。まずは「この世に存在していてもいい」という自信を子供に身に着けさせることが親の大事な仕事です。その為には、正しいことをすればいいのではなく、コミュニケーションが行違わぬようにすること。要するに「子供を理解してあげること」を一番に考えてみてください。それには【わからないことは質問していいから、子供の話をちゃんと聞いてあげる習慣を持つこと】です。その上でしたら貴方の思うように育てることは、親の幸せとして、親の義務として必要なことと言っていいと思います。(実際には理解までいかずとも「理解しようと努力はし続けた」でも大丈夫です)
まだ子供と同居しているうちに親が変わることで子供に与えられる影響は、既に家から出てしまっている子供に与えられる影響に比べてかなり大きいとも言われています。もし子供が問題を抱えているようでしたら、一度子供とどう接したらいいかについて考えてみる機会を作ってみてはいかがでしょうか。心理学には子育てに関する研究は数多くありますので、きっと何かの一助になると思いますよ。
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