経験と知識を盾に
愛着障害や複雑性PTSD(CPTSD)は、親と子の不健全な関係性を基にした経験の影響により、子供側にある種の歪んだ価値観や反射的反応が身についてしまう問題でもあります。
また、哺乳類の子供には親の庇護が必要ですから、問題があるなら物理的に離せばいいという単純な話にもなりません。
ですから関係性が健全であろうと不健全であろうと、子供が独立するまでは直接的、長期的に親の影響を受け続けることになるというのが、今のところ避けようのない現実ということになります。
そう考えると、親子関係の影響で生き辛くなったり、人間関係で躓いている人が、独立後に自分の状態を改善したいと様々なことを試みても、簡単には上手くいかないというのも納得できるかと思います。
しかし、だからといって諦めるには人生は長すぎるのも事実です。そこで心理学を始めとする様々な分野で、愛着障害やCPTSDに対する研究と対処法が考えられ続けてきました。ところが即効性のある方法というのは今のところ見つかっておらず、それなりに時間をかけて向き合う為の心理療法が(合う合わないがあるが)いくつか存在しているというのが現状です。
ただ、考えてみるとこれらの問題は、対人での不健全な関係性が作り出したものですから、生来のものではないという見方もできます(生まれつきの傾向は関係してはいますが)。そこで最近のCPTSDの研究では“健全な関係性を継続的に経験することで何らかの好転を起こせるのではないか?”が一つの方向性として検討されています。言い換えると失敗体験を成功体験が上回れば何らかの改善が見込まれるのでは?ということです。
カウンセラーは医者ではありませんので、医療の現場が提案しているような行為はできません。しかし、上記の人間関係での成功体験については、少なからずお役に立てることがあります。それは【人に理解される経験】を対話を通じて提供できる可能性です。
多くの研究で明らかになっている親子関係での問題の一つが、子に対する親の正しさの押し付けや自己の問題を子供で解消する振る舞いといった、子供を理解することなく行われる行動です。子供側からすると【親に分かってもらえたことがない】という負の体験であり、安心感を得ることのできなかった辛い体験ともいえます。
そこでリフレイムでは自己理解のサポートの他に、特に親子関係の影響で生き辛くなっている人に対して【理解される体験をカウンセリングを通じて提供できないだろうか】という課題と取り組んでいます。実際には【継続的な経験】という大きな壁が立ちはだかりますので簡単な話ではありませんが、クライエントさんの覚悟があれば、不可能と言うことでもないというのが今のところの実感です。
そしてもうひとつ。カウンセリングの場で提供できることがあります。それは、専門の知識。一般向けの心理学の指南書では書ききれない最新の知見や考え方を知識として持つことは、自分や周りで起きている人間関係にまつわる事象について、【自己否定以外の方法】でやり過ごすことができる大事な盾となるものです。
そこでリフレイムでは、カウンセリングを通じて、あるいは勉強会という形で、クライエントさんの現状に必要な知識をできる限り使える形でお伝えすることにも取り組んでいます。
ただし、経験にせよ知識にせよ、効果が表れる為にはカウンセラーとの相性が最も重要となりますので、ここで説明していることはその前提をクリアしてこそのものとなります。ですから、私との相性が良くないと感じた方には遠慮なくカウンセラーを変更してもらいたいと考えています。なぜなら、これ以上対人で傷つくような選択は何のプラスにもならないばかりか、対人不信の傾向に大きなマイナスになることが既存の研究で明らかになっているからです。
【経験と知識】は、親子関係に纏わる問題を中心に扱うリフレイムの柱です。他にも様々な方法論で取り組んでいる人や場所は数多くありますので、お客様が今後ご自身の問題についてどういった形で向き合っていくのかを検討されるときの参考にしていただければと、今回文章の形でご説明させていただきました。またこれは正解の対処法ではなく、あくまでも数多ある対処法のひとつですので、ご理解よろしくお願いします。
何かご質問などあれば、お気軽にご連絡くださいね。
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